「小鷹夫妻と童心観世音菩薩」
2017.09.05「平成九年十月吉祥日
奉納 小鷹三郎、千枝子 建之」
奉納 小鷹三郎、千枝子 建之」
今日は園長です。持地院境内の放光園の門を過ぎた所に、「合掌童心観世音」と記された子どもの観音菩薩像が奉られています。寄進されたのは檀家さんの小鷹さんご夫妻でしたが、千枝子さんは寄進の二年後に、三郎さんも四年後に亡くなりました。今年で像が建立されて二十年になります。
ご夫妻が健在の頃、月忌でお参りに伺う度にいろいろお話をしました。お二人共温厚な人柄で、奥さんは物静かで笑顔を絶やさず、三郎さんも穏かな語り口の方でした。幼稚園の園児の様子等の話には、お二人共特に耳を傾けてくれました。
子どもの観音菩薩像は、ご夫妻のたっての希望によって建立されました。観(世)音菩薩とは、「世」の人々の救いを求める様子(「音」)を「観」て、いろいろな形に姿を変えて救済する仏を云います。お子さんのいなかったご夫妻にとっては、童心を持つ観音さんへの思いが何よりも深かったのだろうと思います。
菩薩像にはいつも花が絶えることなく奉げられ、その廻りでは園児達が元気に駆け回っています。そして今は、小鷹夫妻ご自身が菩薩となり、子ども達を見守っているような気がします。